SWIFT gpiサービスのブロックチェーン活用とgpi Link

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SWIFT(国際銀行間金融通信協会)
SWIFT gpi
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SWIFT

 SWIFT(スイフト)とは、Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunicationの略であり、国際銀行間金融通信協会と訳されます。

 SWIFTは、200以上の国と地域で1万1,000以上の銀行、証券会社、市場インフラ、事業法人が参加する協同組合であり、1973年に発足し、ベルギーに本拠を置いています。

 世界中の金融機関に対し、決済ネットワークへのアクセスやシステムの統合・連携、認証、分析、規制コンプライアンス等にかかる製品およびサービスを提供しています。
 資金付替や顧客送金、外国為替、証券取引、デリバティブなどの安全性の高いグローバルな金融メッセージ・サービスの提供を通して国際標準化しています。

SWIFT gpi

 gpiは、global payments innovationの略であり、国際送金時に適用される今後の新たなシステムの呼称です。

 SWIFTの提供する従来のシステムは銀行間国際送金においても一択一強の状況でしたが、運用面では完璧ではなく、様々な問題点を抱えている状態でした。
 近年ブロックチェーン技術を活用し銀行間送金に特化した存在が出現したことで途端に競争市場となり、SWIFTの存在意義が問われる状況の中、革新を余儀なくされました。

 SWIFTは新たな送金ソリューションであるSWIFT gpiシステムの開発・運用試験・導入施策を行っており、これにブロックチェーン技術を組み込む案も検討されています。
 2020年までにすべての銀行、通貨、国別ルートに実用展開する目標を掲げており、実現に向けて着実に進行しています。

これまでの経緯とSWIFT gpiの今後の展望

従来システム
 SWIFTは世界の金融取引データを安全・確実に送信する銀行間のネットワークシステムです。
 世界中の金融機関を対象としている大規模な通信ネットワークであり、約1万1,000の会員社間で1日当たり1,500万件のメッセージを送信しています。
 SWIFTの従来システムは定期的にアップグレードされていますが、しばしば通信の遅れや非効率性、エラーといったトラブルなどで批評も受けてきました。
 SWIFTに依存する送金業務は、完了まで数日要して、エラーも時に10%に達することがあります。

新たなSWIFT gpiシステム
 SWIFTは従来システムの問題点克服も含め、新たな送金サービスgpiを開始しています。
 現時点は試験導入期間中ですが、試験導入を実施している金融機関関係者からの評価は好評であり、gpiシステムを通じて1日当たり1,000億ドル(約11兆円)の送金が実現されています。

 gpiサービスには、受益者情報の不足や不正確な規制情報といった支払いデータの誤り、および欠落を迅速に識別し排除する機能が備わっています。迅速かつ円滑な取引を可能にし、遅れやコストを削減することで顧客のサービス経験をより良いものにしてくれるとSWIFTは主張しています。
 具体的には、国際決済における予測可能性(predictable)と効率性を向上させる目的でAPIや予想分析を使用し、gpi決済と完全に統合されたサービスとなります。
 この実用化が実現すれば決済システムの効率を大幅に改善し、最終的にはSWIFTネットワークを利用している全ての銀行で利用可能となります。

 これまでと同様に中央集権化された仕組みを活かし、SWIFT gpiは今後のアップグレードではブロックチェーン利用も視野に入れています。

SWIFT gpiのブロックチェーン分野への試みと更なる成果への期待

 SWIFT gpiの総体的なゴールは、国際決済構造の改革だと言えます。
 ブロックチェーン技術によって、受益者の口座への入金通知から送金情報まで、手数料を含む取引プロセスの大幅な透明化を図ることで、さまざまなポジティブ効果が期待されています。
 ブロックチェーン技術を既存の国際決済システムに組み込むことで、リアルタイムなプロセス追跡と即日決済を可能にするという試みになります。
 また銀行が必要な資金を算出しやすくなるため、余分な資金を他の投資などに回すことができるという点で、経済の活性化にも貢献すると期待されています。

 SWIFT gpiの試みが成功し、ノストロ・アカウントのリアルタイム管理が実現すれば、銀行は決済に必要となる正確な金額を把握することが出来るため、余分な資金をほかの投資に回せるようになります。
 潜在的なビジネス上の恩恵だけでなく、国際決済の透明化やスピードアップが図れるという点で、消費者サービスの向上にもつながります。
 低コスト、スピードを重視するオルタナ国際決済サービスとの競争力が強化されていきます。

 ノストロ・アカウントとは資金決済を行う当方が外貨建てで保有する決済口座のことです。この決済口座で銀行間の外国為替取引の際、外貨の決済口座を相手銀行に告知することになります。
 これまで金融機関はノストロ・アカウントを世界各国・地域に保有することで国際決済の流動性を維持してきましたが、国際決済の増加に伴い、管理・モニタリングが困難になりつつあります。また現時点ではリアルタイムの管理が不可能という難点もありました。
 このまま放置できる問題ではないことは、取引量の増加を見れば一目瞭然です。SWIFT gpiはこの課題点を解決します。2012年には99億件、総額20.5兆ドルだった取引量は、2022年には207億件、54.8兆ドルにまで増えるとBCGグローバル・ペイメント・モデルは予想されています。

SWIFT gpiをR3のCordaへ統合する実証実験

 SWIFTが2019年01月30日に、ブロックチェーン企業R3の提供する「Corda」と「SWIFT gpi」との統合を目指す実証実験を開始しました。
 実証実験の初期段階では、SWIFT gpiとCordaを連携させ、DLT(分散型台帳)取引にgpiのメリットである支払い速度、普遍性、確実性をもたらす予定です。
 このシステムは「gpi Link」と呼ばれ、複数の取引プラットフォームをシームレスに接続しながら、gpiによる支払い、クレジット確認を可能としています。

 gpi Linkは、国際決済システム革新プロジェクトSWIFT gpiに参加する銀行を複数の取引プラットフォームとシームレスに接続するという、SWIFTの新たな取り組みとなっています。

 今回の実証実験では、R3社の分散型台帳プラットフォーム「Corda」の参加企業が「gpi Link」を利用し、銀行からの支払いの承認、送金経路すべての追跡、支払人の認証と信用確認が可能になる予定になります。


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