IBM社 BlockChain World WireおよびStellarの特徴と動向
IBM
世界最大級のコンピュータ会社です。本社はアメリカで、日本法人は日本アイ・ビー・エム株式会社といいます。IBMは、International Business Machines の略とされています。
IBMは、単にコンピュータを開発・製造・販売している事業だけではありません。IBMの事業は主にIT関連で多岐にわたる最大手企業ですが、この記事でそのすべてを紹介する意味は特にありませんので省略します。ブロックチェーンソリューションに関するIBMの取り組みを記します。
IBMはブロックチェーン事業に取り組んでいますが、暗号通貨ではない領域でのソリューション提供を推進しています。
注力している分野は「食の信頼」「世界貿易」「貿易金融」「グローバル決済」の4つとなっています。これらのソリューションは「コンソーシアム型ブロックチェーン」を活用しています。
コンソーシアム型ブロックチェーンは、ビットコインやイーサリアムのような誰でもネットワークに参加できる「パブリックブロックチェーン」とは異なり、複数の信頼できる企業や団体のみネットワークに参加できるブロックチェーンになっています。
このブロックチェーン技術をベースにソリューション展開を行っていますが、その中でグローバル決済に関わるソリューションがあり、それはこの記事で紹介する「BlockChain World Wire」ということになります。
BlockChain World Wire
BlockChain World Wire(BWW)は、グローバル決済をリアルタイムで完結させるブロックチェーンソリューションです。ブロックチェーン技術を利用するBWWは、金融仲介機関を必要とせず、経費を削減し、トランザクション時間を大幅に短縮する国際決済システムになります。
BWWはStellarプロトコルを利用する、米ドルと直結したステーブルコイン「Stronghold USD」のような第三者暗号化システムであり、国際決済はほぼ瞬時に可能になっており、既存の国際送金のような高い手数料や時間、手間を省くことができる仕組みになります。
BWWはいくつかの重要な機能を果たします。
- すべての通貨間に適用される単一の交換手数料
- エンドツーエンドの透明性
- ほかのどのようなシステムとも接続・統合できる直接設定可能なソリューション
- すべての額面、すべての目的地、すべての資産タイプの決済をサポート
- 堅ろうなアクセス管理可能で、十分なセキュリティで保護されたネットワーク
Stellarは、デジタル通貨を法定通貨に転送するオープンソースの分散型プロトコルで、どんな通貨ペアでもクロスボーダー取引が可能なっており、「金融機関が数秒で国境を越えた決済を完了できるようにする」ことを実現しています。
BlockChain World Wireソリューションの将来性
Stellarは、年1%追加発行して流通量の増加を管理しており、価格変動を抑えることができます。またBWWシステムは、ブリッジ通貨を一つに限定しておらず、複数のステーブルコインの中から利用したい通貨を選べるメリットもあります。BWWは、金融機関の国際決済サービス分野を進展させる先端システムとして注目されています。
決済市場は毎年、平均7%で成長しており、2020年までには2兆ドル(約222兆円)市場になるだろうと予測されています。銀行はじめ金融機関は、国際決済のコストがかかり処理も数日から10日前後かかる決済プロセスを、ブロックチェーン技術を利用して合理化することを目指しています。
IBMはすでに400余りのブロックチェーン・ソリューションを開発・展開しており、ビジネスの在り方を変革しつつあります。決済システムの60%はIBMが関係しています。世界大手銀行の97%はIBMのクライアントであり、世界のクレジットカード取引の90%が、IBMメインフレーム上で処理されています。
IBMが提供するブロックチェーンソリューションは、既存で抱えている大多数のクライアントに対して大きなリーチがあるため、BlockChain World Wireが金融業界に与える影響度ポテンシャルは非常に高く、金融機関の採用事例は増えていくと考えられます。