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ビットコイン先物上場により仮想通貨マーケットにヘッジファンドや機関投資家が本格参入 ー ETF上場の可能性

仮想通貨(暗号通貨)の取引市場規模は拡大を続けており、2017年にはいくつかの先物取引所も参入しました。
12月にはCBOE(シカゴ・オプション取引所)やCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)などの大手がビットコイン先物上場を表明し、取引を開始します。

先物取引による空売りなど、ヘッジファンドや機関投資家が参入することによる相場変動の警戒は強まったと見ています。仮想通貨(暗号通貨)取引での相場変動はただでさえ暴騰暴落が起こりやすい状態なので、先物取引がもつ性質やヘッジファンドなどの動きは注視しなければなりません。

「先物上場」「ETF上場」「先物取引の特殊性」「ヘッジファンド」など簡単に意味を説明しておきます。

先物取引・先物上場とは

先物取引

  1. 将来の予め定められた期日に
  2. 特定の商品(原資産)を
  3. 現時点で取り決めた価格

で売買する事を約束する取引です。

株の取引市場でも価格の決まっていない未来の株を取引する「先物取引」がありますが、仮想通貨取引にも先物取引が可能になるということになります。

先物上場

為替や株だけではなく、世の中で売買取引されてい物の売買価格に対して、未来相場を予想する取引が行える先物取引所があります。

先物取引所で新たに取扱商品を追加する場合、または取引所で先物取引を開始する場合などに、先物上場と言います。
ビットコインが先物取引としてCBOEやCMEから上場されるということになります。

先物取引の主な特徴

取引対象の現物自体を売買していない
取引対象とする銘柄の現物を購入したり売却していません。取引相場の上下を予想して、その未来の結果に対して損益が発生します。
現状の相場から上がるか下がるかという選択で取引をします。予想が当たれば収益になり、外れれば損失します。

取引できる期間が決まっている
現物の株取引では、その企業が倒産しない限りいつまでも株式を保有しておくことが可能です。仮想通貨の現物を取引する場合も同様に保有しておくことが可能です。
これに対して、先物取引は、取引の期日があります。期間内であればいつでも売買できますが、期限になれば、自動的に決済されます。

FX取引の場合は、基本的に24時間いつでも参加できます。

取引には証拠金が必要になる
先物取引は、証拠金と呼ばれる担保を預けて取引を行います。株取引の信用取引と似た制度で、先物取引は証拠金に対して数倍~数十倍の取引(レバレッジ)を行うことができる仕組みとなっています。

レバレッジは収益化した場合は大きな利益が見込めますが、相場取引に慣れていない方が安易に手を出すと非常に深刻な損失を抱える危険があります。

売りから取引開始が可能になる

現物の取引とは違います。現物取引の場合はまず買ってからでないとその銘柄を売る(買った数量のみ)行為ができません。

先物取引は、相場が上昇すると予想したときには株取引と同様に「買い」から、反対に相場が下落すると予想したときには「売り」から取引を始めることができます。

また先物取引だけではなく実際の現物取引とセットで行えば、まず持っている銘柄が高値のときに現物を売却し、先物取引上でも「売り」からスタートします。予想通り相場が下落すれば先物取引として収益化でき、下落した現物も「買戻す」ことでより利益の準備を得ることができます。

ヘッジファンドや機関投資家の参入と仮想通貨取引市場への影響や変化

ここから、この記事の本題になります。

先物取引は売りからスタートすることができると説明しました。
先物取引も、現物取引と同様に買いと売りつまり売買取引を行うのですが、先物取引は、現物がなくても売りからの取引が行えます。このことを「空売り」と言います。

今でもビットコインFXの取引はあるので、仮想通貨の相場変動の乱高下が非常に激しいマーケットではありました。ビットコインが先物取引の対象となっているため、取引のプロたちは基本的にはビットコインを優先して戦略を組み立てていると考えられます。またビットコイン建てでアルトコインと交換することもできるので、どうしても利益を追求するプロたちはビットコインを中心に仮想通貨取引を行うケースが多いと考えられます。

このため、仮想通貨全体の相場は、優先されるビットコインに引きずられるように、他のアルトコインの相場も動いてしまうことが多いです。

ヘッジファンドや機関投資家など、相場取引を生業としているプロが本格的に参入することで、相場への影響は確実に大きくなると思います。
空売りと買い集めの戦略、膨大な資金による相場に対するある程度のコントロールなど、今後の仮想通貨取引市場は注意が必要になります。今までは楽観的な感覚で取引を行い、少々の含み損が出ても値動き差が大きくなければ、早いタイミングで値が戻り救われたケースがあったかもしれません。また含み益で保有し続ければ、経過する時間と共に膨らんで安心できた場合があったかと思います。
今後は含み益も含み損も保有し続けることのデメリットが目立ってくるかもしれません。
またテクニカル指標もファンダメンタル分析も全く通用しないケースがより目立ってくるかもしれません。

ヘッジファンドなど、相場取引上での利益追求のプロは、普通なら相場はこうなるだろう、自分なりの経験的にはこうだったはずという読みが更に通用しなくなると思います。多くの人が考える妥当な状況を逆手に取って独り勝ちしていくことがとても上手な集団です。

その代表的な例は、やはり先物取引の大きな特徴でもある空売りの戦略です。

現物取引のみで、基本的にホールドポジションしていれば儲かっていた人は危険かもしれません。
「自分の持ってた銘柄、相場の底が上がった。ガチホだ。」
「ニュースなどから得た情報、これは上げ材料だな。このままガチホだ。買い増しだ。」
「少しだけ含み損出した。でも軽傷だし、また上がるだろう。握力握力…。」
このような今まで自分を救ってきたロジックは簡単に裏目に出る確率は高まると思います。
恐怖心を煽りたいわけではありません。常に警戒し、どちらに転んでも大損を出さない思案はあった方がいいと思います。
※損切りを諦めて博打をするのは握力とは言いません。握力というのは損も益もない、変化が見込めない暗号通貨を手放すかどうか悩んでいるときの比喩です。

とはいえ、長い目で見れば仮想通貨相場全体は、今よりも上がっていくでしょうから、保有が不利というわけではありません。
かなり低額な価格帯だった頃から保有している人は、多少の乱高下も高みの見物ができるでしょうから、プラスが減ることはあっても、マイナスになることはない上場時からの長期保有者はいるかもしれません。

①含み益は言葉通り、利益未確定です。利益確定はとても重要な選択肢です。
利益確定して資金化していれば、別の資金を調達してこなくても、今後予期せぬ空売りの下落時にも買い戻し対応などが可能になります。保有状態だと下落が激しい場合、値戻りするまで待つしかありません。やはり確定してこその利益です。
しかしながら保有継続も重要な選択肢だと思いますので、ケースバイケースです。

②損切りは決断することが辛いのは理解できますが、含み損を耐えて値戻りを待ったり、更に値戻りに安心して含み損から運よく含み益に転じるまでまた放置するというのは、相場チャートの局面によってはとても危ない考え方かもしれません。想定したシナリオが破綻し含み損が広がりそうな場合には、速やかな損切りの決断が大切になります。
損を軽くすることを優先してください。値戻りを待ち含み損を減らすことも良い考え方ですが、期待通りに値動きしないケースは必ずあります。値戻りで含み損を減らすなら、最初から早めの損切りをしている方が結果が同じでも精神的な面ではかなり異なります。早めの損切りは後から取り返せる可能性が高いです。
早めの損切りを躊躇ってタイミングを逃すと損失が大きくなります。また含み損で保有していると、値が戻ってくるまで資産運用の機会を損失します。

ETF上場の可能性とその影響

ETFとは、上場投資信託(Exchange Traded Fund)のことを表します。
投資信託が証券取引所に上場しているので、株の売買と同じように証券会社を通して取引ができます。
つまり、既存の大手投資信託や証券取引所がETFとして仮想通貨を商品化するという意味になります。

ETF上場はまだ申請が通っていませんが、仮にETF上場が果たされた場合はどのような影響が出るのでしょうか。
既存の大手投資信託、大手証券取引所が参加することで、更にヘッジファンドや大型の投資家の参入増加が見込まれ、市場の活発化が増すということになります。

先ほど、先物取引も得意としているヘッジファンドといったプロたちの参入影響で警戒が一層必要だと解説しましたが、ETF上場になると、相場変動への影響は更に強まる可能性が高いです。
しかし、悪い材料ばかりではありません。

ヘッジファンドも機関投資家も大型の個人投資家らも膨大な資金があります。
つまりこの膨大な資金が仮想通貨市場に流入するということになりますので、ビットコインもアルトコインも相場の底値が格段に上がっていく可能性は十分にあり得ます。


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